第一回 「もうジブリはアニメーションを作らないのか?」

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 全てのオタクにとって、いやオタクだけではない、いまや普通の人にすらも、ジブリは特別の存在といえる。特別とは、無視できない存在という意味だ。つまり、好きにしろ嫌いにしろ、コンテンツの話をすれば必ず出てくるのがジブリの話題なのだ。テレビでジブリ映画を放映すれば、相変わらずの高視聴率、うちの娘なんぞは、我が家にDVD全巻揃っているというのに、オンエアすれば必ずリアルタイムで見ている。国民的映画とも言われる所以である。

 さて、筆者はスタジオジブリの広報誌『熱風』の編集をしているわけだが、最近もっぱら聞かれることといえば「ジブリはもう映画を作らないのですか?」という質問だ。もちろんこれは宮崎駿監督の引退宣言を受けての反応だろう。実は宮崎監督は過去にも、何度も引退すると言っては撤回している。そのことは本人も分かっていて、引退会見で自ら「僕は何度も今まで辞めると言って騒ぎを起こしてきた人間なので、当然まただろうと思われているんですけど、今回は本気です。」と語っている。しかし、それは“長編”という限定つきでの引退宣言だ。同会見で監督は引き続き、長編とわざわざつけて、このように語っている「僕の“長編”アニメーションの時代ははっきり終わったんだと、もし自分がやりたいと思っても、それは年寄りの世迷い事であるということで片づけようと決めています。」(“”は筆者)

 この文脈を読み解くのは簡単だ、長編映画はもう作らないけど、それ以外のことはまだ未定とは、短編映画は作るつもりなのである。そうなったときの、引退会見をしてしまった自分への整合性も「年寄りの世迷い事」としてきちんと取ってある発言だ。さらに、引退後も美術館の仕事は、続けていくと発言している。その言葉通りに、引退後すぐに「クルミわり人形とネズミの王さま展」(現在開催中)にとりかかったが、美術館のコンテンツとして、美術館上映用の短編映画があるので、そのことを考えていないわけはない。そうなると、短編が中編に、中篇が長編に……という流れはあるのだろうか。実際に「ナウシカ」がそうだったし「紅の豚」もそうだったように。

 それに関しては、全く分からないし、監督自身も分かってないと思う。というのも宮崎監督はテレビ『情熱大陸』のなかで、「来るときは、降りてくるから。来ないときは、何やっても来ない。映画の企画もそうですけど、誰かに見せたいと自分の中に湧いてくれば、出てくるもんですけど、当てずっぽうに本を読んでも、企画は出てこない。子どもたちに何を見せるか。大人はついでに見てくれればいいんで。どうやって嗅ぎ付けていくのか、降りてくるのを待つしかないですけど。」と言っている。だからある日突然“降りてきた”日の話、そこからどう動くかは誰にも分からない。

 先日、宮崎監督は急に、庵野監督の会社スタジオカラーに行くと言って、突然に西荻窪のスタジオを訪問している。宮崎監督のアタマのなかに何かが降りてきたのか、閃いたものがあるのかは分からないけれども、まだまだ精力的だ。


コラム:額田久徳


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